売れるコンテンツの4つの条件

出版業界随一のカリスマであり、ベストセラーメーカーとして知られている幻冬舎社長・見城徹氏。彼が色々なメディアとかでよく語っていることに、売れるもの、ヒットするものに必ずある「ヒットの4条件」というのがある。

 

1.オリジナリティがあること
2.明快であること
3.極端であること
4.癒着があること

 

いわく、上の4つの条件は、本に限らず、あらゆるコンテンツに共通していえるとのこと。確かに、近年のメガヒットしたコンテンツ、例えば、『進撃の巨人』や『妖怪ウォッチ』、『パズドラ』、『艦これ』などにあてはめて考えると、上記の1、2、3は非常に分かりやすい。「オリジナリティ」のないパクリコンテンツがそもそも大衆の心を掴まえることはできないし、今の時代に他の誰もがやってない独自性があるものは自然に類するもののない「極端」なものにほぼなるだろう。そして、「極端」であることはほぼイコールで、説明しやすいような「明快」なものであるとも言える。見城氏もこの3つはセットだと言っているが、売れるモノの中には、ずば抜けたコアアイデアが、確かにこの3つの要素は不分離なものとして存在すると思えるし、外から見ても分かる必要最低条件といえるのではないだろうか。

しかしながら、外から見てるうえでは分からないのが4の「癒着」。「癒着」というと、あまりいいイメージのない言葉のような気もするが、いわば、密に結び合った関係といえる。見城氏の手掛けたミリオンセラー、郷ひろみの『ダディ』がその典型的な事例と言えるだろう。郷ひろみ二谷友里恵のスター夫婦の離婚にいたるまでを伝える話を出版できたこと自体、郷ひろみとの深い信頼関係に基づくものなのは明らか。さらには、その話を本という形になるまでに時間がかかるメディアが一番最初に伝えるものになったことで大ヒットにつながったのだが、そこまで、他のメディアで明るみになることなく、秘密裏に進められたのは、まさに作家と編集者の切り結んだ信頼関係の賜物。さらには、このプロジェクトが漏れることのないよう、印刷もつき合いの深い印刷会社の社長自らが深夜に一人で作業して、従業員が目にすることのないようにしたという話も聞く。まさに二重三重に「癒着」があったことで、話題化の最大限にもつながって、記録的なヒットとなったのだ。

この表に出ない「癒着」だが、広告やWebにおいても、ヒットというか、案件の成功のためには、実は最も大事なものではないだろうか。例えば、1、2、3を満たしたよく練られた面白い企画であったとしても、その企画が通らず、無難な企画に落ち着いたり、企画が通っても、制作中にちゃぶ台返しの修正を要求して企画自体が骨抜きになってしまったという話はそう珍しいことではないように思う。そういったケースにおいては、この「癒着」が欠けていることが大概の原因ではないだろうか。本来クライアントが求めているもの、目指しているもの、課題などと、制作側にズレが生じてしまうゆえに、そういったことが起こってしまう。逆に言えば、案件の成功にはそれらの目標や課題をきちんとクライアントと共有することがなにより重要なのだ。また、それは、広告代理店と制作会社、営業やディレクターと実作業するデザイナーやエンジニアとにも同じことがいえよう。

実際に私もやってみたことはないが、クライアントと関係各者が集まり、カスタマージャーニーマップをワークショップで一緒につくりあげていく取り組みなどはなかり有効ではないかと思う。それだけの時間を共に捻出できるか、コストに反映できるかなど、また難しい面もあるけれども、そういった作業を通すことで、意識の共有、そして「癒着」した関係性をつくること。目標達成のために、そして、広告やWebの制作をより有意義なものにするために、携わる者すべてがもっと意識していくべきことのように思う。