災害時における自治体HPの責任

いやいや、すごかったですね、ヘーベルハウス。もとい今回の大雨は。

自分の住まいは仙台市でも丘陵地的なところなので、まあ大丈夫だろうとタカを括っていましたが、それでも夜半3時頃には避難勧告を知らせる通知でiPhoneに叩き起こされた時には、正直相当ビビりました。さすがにここまではと思っていたものの、避難勧告ともなれば、やはり焦るもの。すぐに、WebとTVで確認しだして、一番危ないと思っていた広瀬川や七北田川も持ちこたえてるようだし、ちょっと外に出て周囲を確認してみましたが、特に周りの家の方々も動き出す気配もなかったので、時間が時間だったこともあり、いざという時にすぐ逃げられる準備をして自宅待機という判断を取りました。

 

結果的に仙台はなんとか致命的と言えるような大きな被害は受けずに済んだように思いますが、今回の大雨災害の情報をいろいろ収集していた中でちょっと考えさせられたのが、災害時における自治体の適切な情報発信の仕方とかHPの運用のあり方。

というのは、今回の大雨関連の情報を、自分の住んでいる仙台はもちろんながら、自身白石市の出身ということもあり、仙南には知人友人も多いので、広く仙南地域の情報も気になっていたのだが、いざ、その地域がどんな状態にあるのかと思って自治体のHPを見てみても、ほとんど知りたい情報が得られなかったから。

これは結構衝撃的だった。まずそこの地域の災害情報知りたかったら、自治体の公式HP見るのが一番妥当な選択肢だと思っていたのだが、この感覚って一般的ではないんですかね?

仙台市もそうですが、仙南地域でも各地で避難勧告や避難準備が出されていましたが、こういったものは市町村長の判断に沿って、自治体が発令するもののはず。とすれば、普通に考えれば、自治体のHPを見るのが一番早く、正確であって当たり前なはずなのに、仙南各地の自治体ではまったく大雨関連情報が更新されていないのが約半数。これは結構由々しき事態なんじゃないかと思った次第。

だって、今回の大雨は気象庁が特別警報出すくらいの事態だったわけですよ。気象庁のHP見たら、

「特別警報」が発表されたら、ただちに命を守る行動をとってください。

って、赤字の大文字で書かれているくらいで、生命の危機にかかわるくらい重い事態なわけです。

災害の性質が違うので、一概には比較できないのですが、蔵王の噴火騒ぎの時だって実際に出ていたのは火口周辺で警報まで。今回は、特別警報だったので、それ以上に危険な状態だったということ。

そういう状況の中で、もしかしたら、他の発信手段、緊急時用のメールとか公式Facebookで発信していたかもしれないけど、多くの人に確かな情報を伝える手段として、自治体の公式HPが使われていなかった自治体が多くあったのは非常に残念。夜だったし、いろいろ事情はあるだろうけど、HPでの情報発信は避難情報を発している主体としての責任ではないかと思うのです。

 

で、なぜ、こんな状況になったかを、理由をいろいろと考えてみました。

1.HPでの情報発信は別に重要ではないと考えた。

住民たちは、テレビ、ラジオ、その他の手段で知るはずだから、わざわざHPを急いで更新する必要はないという結論に達した可能性もなくはない。こうであってほしくないとは切実に思いますが…。

2.担当者が帰ってしまっていて、更新したくても他の人ではできない状況になっていた。

今時の自治体のHPはCMSが組み込まれているのが大半なので、更新を業者にまるっと委託しているところはほとんどないと思われる。そういった場合、更新できる範囲が各担当部課ごとに細分化されており、担当するところ以外はいじれない。今回の場合だと防災関係の部署が帰っていたとは考えがたいので、トップページの更新を任せらている担当者(多くの場合は広報か?)が、さっさと帰ってしまっていて、他の人では更新してくても、できなかったという可能性も考えられる。

3.更新を承認する立場の人が帰ってしまっていた。

自治体等でCMSを運用する場合、新規でつくった記事を勝手に上げられないように、上長が承認できしてからでないと更新できないフローとシステムにしているところも多く、そういった場合、担当者がいても承認権限持った人が不在だった場合、更新できないので、その可能性もなくはない。

大きく分けると、考えられるのは以上のパターンかと。1は論外だったとしても、2、3の場合、担当者もしくは承認権限を持つ者が責任を果たしていないと考えるか、夜にかかってしまっていたので仕方がないと見なすかは、人それぞれかもしれませんが。ただ、その場合、今回のように緊急時に対応できるフロー、システムが確立されていなかったということであり、そこは見なおしておく必要があるのではないかと思われます。

ちなみに、今回の大雨の自治体のHP対応でさすがと思ったのは、仙台市。リソースに仙南の市町村とは大きな差があるとはいえ、即時の情報発信はもちろん、アクセス過多でつながりにくい状況をみて、すぐにトップページをテキストだけで構成した緊急時用の構造に切り替えたのはさすが。他の自治体とは違い、こういった事態も想定していたものと思われるし、政令指定都市だけのことはあるなと。ガラケーへの対応という意味も含めて、一定の評価は受けていいと思う。

関連性があるかはまったく不明確ですが、もしかしたら、仙南地域でも、白石市角田市岩沼市名取市という市はどこも一応トップページが更新されていて、避難情報等が発信されていたので、こちらが思っているよりも人的リソースの差が影響している可能性もあるのかもしれないですが。

さらに言えば、今日になっても大雨関連情報が更新されていない自治体がいくつかあったというのも重ねて残念。もう峠は越したので、今更と思っているのかもしれないが、交通情報や被害状況など住民たちが知りたい情報は今朝の段階でもいろいろあったはずなのだが…。

中でも、極めて残念に思ったのが大河原町のHP

f:id:arawashitoru:20150911231949p:plain

大雨関連の情報が今朝になって更新されていると思いきや、「議会が休会となります」って、もっと住民に伝えるべき情報が他にたくさんあるだろと、正直住民の方々はキレてもいいレベルではないかと思いました。

あと、自治体HPとしては、ちょっと残念ではありましたが、村田町の佐藤町長は絶えず村田町の避難情報や交通情報等をtwitterで適時発信しており、村田町の町長ということで、地味な感じで注目されていないですが、もっと評価されていいかと。

twitter.com

個人的には、ちょっと前に話題になった千葉市長のシムシティ企画みたいなものも受けてお願いしたら受けてくれるんではないかと想像してます。面白い企画ある方は、是非佐藤町長にtwitterでメンションを飛ばしてみてください。

 

まあ、そんなわけで、仙南の各市町村の自治体HPの担当者様が糾弾されるような大被害を被らなかったことを幸いに思いつつ、より良い情報発信の体制がとられることを切に願っている次第でございます。