災害時における自治体HPの責任

いやいや、すごかったですね、ヘーベルハウス。もとい今回の大雨は。

自分の住まいは仙台市でも丘陵地的なところなので、まあ大丈夫だろうとタカを括っていましたが、それでも夜半3時頃には避難勧告を知らせる通知でiPhoneに叩き起こされた時には、正直相当ビビりました。さすがにここまではと思っていたものの、避難勧告ともなれば、やはり焦るもの。すぐに、WebとTVで確認しだして、一番危ないと思っていた広瀬川や七北田川も持ちこたえてるようだし、ちょっと外に出て周囲を確認してみましたが、特に周りの家の方々も動き出す気配もなかったので、時間が時間だったこともあり、いざという時にすぐ逃げられる準備をして自宅待機という判断を取りました。

 

結果的に仙台はなんとか致命的と言えるような大きな被害は受けずに済んだように思いますが、今回の大雨災害の情報をいろいろ収集していた中でちょっと考えさせられたのが、災害時における自治体の適切な情報発信の仕方とかHPの運用のあり方。

というのは、今回の大雨関連の情報を、自分の住んでいる仙台はもちろんながら、自身白石市の出身ということもあり、仙南には知人友人も多いので、広く仙南地域の情報も気になっていたのだが、いざ、その地域がどんな状態にあるのかと思って自治体のHPを見てみても、ほとんど知りたい情報が得られなかったから。

これは結構衝撃的だった。まずそこの地域の災害情報知りたかったら、自治体の公式HP見るのが一番妥当な選択肢だと思っていたのだが、この感覚って一般的ではないんですかね?

仙台市もそうですが、仙南地域でも各地で避難勧告や避難準備が出されていましたが、こういったものは市町村長の判断に沿って、自治体が発令するもののはず。とすれば、普通に考えれば、自治体のHPを見るのが一番早く、正確であって当たり前なはずなのに、仙南各地の自治体ではまったく大雨関連情報が更新されていないのが約半数。これは結構由々しき事態なんじゃないかと思った次第。

だって、今回の大雨は気象庁が特別警報出すくらいの事態だったわけですよ。気象庁のHP見たら、

「特別警報」が発表されたら、ただちに命を守る行動をとってください。

って、赤字の大文字で書かれているくらいで、生命の危機にかかわるくらい重い事態なわけです。

災害の性質が違うので、一概には比較できないのですが、蔵王の噴火騒ぎの時だって実際に出ていたのは火口周辺で警報まで。今回は、特別警報だったので、それ以上に危険な状態だったということ。

そういう状況の中で、もしかしたら、他の発信手段、緊急時用のメールとか公式Facebookで発信していたかもしれないけど、多くの人に確かな情報を伝える手段として、自治体の公式HPが使われていなかった自治体が多くあったのは非常に残念。夜だったし、いろいろ事情はあるだろうけど、HPでの情報発信は避難情報を発している主体としての責任ではないかと思うのです。

 

で、なぜ、こんな状況になったかを、理由をいろいろと考えてみました。

1.HPでの情報発信は別に重要ではないと考えた。

住民たちは、テレビ、ラジオ、その他の手段で知るはずだから、わざわざHPを急いで更新する必要はないという結論に達した可能性もなくはない。こうであってほしくないとは切実に思いますが…。

2.担当者が帰ってしまっていて、更新したくても他の人ではできない状況になっていた。

今時の自治体のHPはCMSが組み込まれているのが大半なので、更新を業者にまるっと委託しているところはほとんどないと思われる。そういった場合、更新できる範囲が各担当部課ごとに細分化されており、担当するところ以外はいじれない。今回の場合だと防災関係の部署が帰っていたとは考えがたいので、トップページの更新を任せらている担当者(多くの場合は広報か?)が、さっさと帰ってしまっていて、他の人では更新してくても、できなかったという可能性も考えられる。

3.更新を承認する立場の人が帰ってしまっていた。

自治体等でCMSを運用する場合、新規でつくった記事を勝手に上げられないように、上長が承認できしてからでないと更新できないフローとシステムにしているところも多く、そういった場合、担当者がいても承認権限持った人が不在だった場合、更新できないので、その可能性もなくはない。

大きく分けると、考えられるのは以上のパターンかと。1は論外だったとしても、2、3の場合、担当者もしくは承認権限を持つ者が責任を果たしていないと考えるか、夜にかかってしまっていたので仕方がないと見なすかは、人それぞれかもしれませんが。ただ、その場合、今回のように緊急時に対応できるフロー、システムが確立されていなかったということであり、そこは見なおしておく必要があるのではないかと思われます。

ちなみに、今回の大雨の自治体のHP対応でさすがと思ったのは、仙台市。リソースに仙南の市町村とは大きな差があるとはいえ、即時の情報発信はもちろん、アクセス過多でつながりにくい状況をみて、すぐにトップページをテキストだけで構成した緊急時用の構造に切り替えたのはさすが。他の自治体とは違い、こういった事態も想定していたものと思われるし、政令指定都市だけのことはあるなと。ガラケーへの対応という意味も含めて、一定の評価は受けていいと思う。

関連性があるかはまったく不明確ですが、もしかしたら、仙南地域でも、白石市角田市岩沼市名取市という市はどこも一応トップページが更新されていて、避難情報等が発信されていたので、こちらが思っているよりも人的リソースの差が影響している可能性もあるのかもしれないですが。

さらに言えば、今日になっても大雨関連情報が更新されていない自治体がいくつかあったというのも重ねて残念。もう峠は越したので、今更と思っているのかもしれないが、交通情報や被害状況など住民たちが知りたい情報は今朝の段階でもいろいろあったはずなのだが…。

中でも、極めて残念に思ったのが大河原町のHP

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大雨関連の情報が今朝になって更新されていると思いきや、「議会が休会となります」って、もっと住民に伝えるべき情報が他にたくさんあるだろと、正直住民の方々はキレてもいいレベルではないかと思いました。

あと、自治体HPとしては、ちょっと残念ではありましたが、村田町の佐藤町長は絶えず村田町の避難情報や交通情報等をtwitterで適時発信しており、村田町の町長ということで、地味な感じで注目されていないですが、もっと評価されていいかと。

twitter.com

個人的には、ちょっと前に話題になった千葉市長のシムシティ企画みたいなものも受けてお願いしたら受けてくれるんではないかと想像してます。面白い企画ある方は、是非佐藤町長にtwitterでメンションを飛ばしてみてください。

 

まあ、そんなわけで、仙南の各市町村の自治体HPの担当者様が糾弾されるような大被害を被らなかったことを幸いに思いつつ、より良い情報発信の体制がとられることを切に願っている次第でございます。

 

Netflixに登録してみたついでに、これからの映像コンテンツについて考えてみた

すっかり放置してしまっていた当ブログを、ちょっとネタとしてタイムリーなところがあったので、思い出したかのように更新。

先日9/2にオンライン映像配信サービスのNetflixが日本でもサービス開始して、一ヶ月無料体験できるとのことだったので、早速登録。

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とりあえず、1週間かけて、原作が大好きな「弱虫ペダル」のアニメ版を全話視聴。「恋のヒメヒメぺったんこ」(※ 主人公の超絶イチオシアニメ「ラブ★ヒメ」のOPテーマ曲。主人公は自転車に乗りながら、この歌を歌う)をサビの部分はソラで歌えるくらいには成長しました。

で、いざ、他のものを見るかと思ってみたものの、是が非でも見たいって思えるものって意外とないものだなって思った。もちろん、ローンチしたばかりなので、今後ラインナップはどんどん充実していくだろうけど、どうしても見たいコンテンツがそんなに増えるかというと、微妙な気がした。

理由としては、まず第一に今の自分のライフスタイルとして、テレビをそんなに見なくなっているということが挙げられる。基本的に連ドラとかバラエティを見なくなっており、とりあえずテレビをつけてみて流し見ることはあっても、主体的に見るのは主にニュースとスポーツ中継以外くらい。いわゆる、テレビならではの即時性のある番組くらいしか真剣に見ないスタイルになっているので、わざわざドラマを10時間以上かけて見たいという気が起きない。

それから、映画は好きだし、割と見る方なんだが、逆に、どうしても見たい作品は映画館で見てるか、もしくはDVDで借りて見たものばかりになっているので、是が非でも見たいっていうのは意外とないもの。もちろん、見たら面白いかもという映画はたくさんあるのだが、2時間かけて見なくちゃいけない映画なのかと、自分自身に問うた時に、まあ別に見なくてもいいかという結論に達してしまうことが多いなと。

これからの時代、好きな映像コンテンツを好きな時に見れるこういったオンライン映像配信サービスが主流、もしくはそれに近い位置を占めるようになっていくのは間違いないとは思う。すでに先行してHuluがサービス提供しているし、今月中にはAmazonがプライム会員なら無料で見れるAmazonプライムビデオを始めるとのこと。また、来月には、民放キー局5局が連携して、見逃し視聴を中心にTVerも始まる。まさに、熾烈な競争が始まるわけだが、そうなった時に、提供されるコンテンツも変わっていく可能性があるんじゃないかと思った次第。

というのは、各サービスで特徴も異なるので一概には言えないが、基本的には提供コンテンツの中心となるのはTVで放映された連続ドラマ、アニメ、もしくは映画なわけだが、これらを自分の好きなタイミングで見たいと思った時に、時間の価値との天秤にかけられるから。

現代人はとかく忙しいわけで、特に、オンライン映像配信サービスを利用する人は、自分の都合にあわせて映像コンテンツを楽しみたいと考える人が多いと思うのだが、そういった人たちが、面白いかどうか見てみないと分からないコンテンツに無造作に時間を費やさないのではないだろうか。連続ドラマなら1クールで10時間ちょっと。映画でも約2時間を費やすわけで、もちろん結局は見てみないと分からないのだが、それでもその時間を費やした分の納得感を求めるような気がする。

面白いかどうか分からないのに、連続ドラマをダラダラ見て、途中で止めるのもなんだし、映画の1回2時間も忙しい人にとっては確保が難しい時間な気もするので、そうであれば、一番求められるようなコンテンツは、1話完結型、しかも、長くても1時間以内で収まるものなんじゃないだろうか。

であれば、もしオンライン映像配信サービスが主流になっていったとしたら、既存のTV、映画の2次利用的なものから、1時間でキリよく見れるコンテンツがそれ専門につくられていく可能性もあるんじゃないかなんて徒然と考えてみた。

あくまでも、自分のスタイルを土台とした何の根拠も裏付けもない、いわば妄想みたいなものだし、ダラダラと映像コンテンツ見てるのが好きな人も相当数いるので、全然外れるかもしれないけどね。

まあ、そう仮説を立ててみると、電子書籍も既存の書籍の電子版だけでなく、独自のマイクロコンテンツへという流れもあるので、あながち悪い見立てでもないかもしれないんじゃないかと。

そんなことを考えながら、今日はNetflixで「仁義なき戦い」でも見て、漢になろうかと思います。

 

 

印象に残った2016新卒採用サイト10 Part2

先日に書いたこちらのブログ記事

印象に残った2016新卒採用サイト10

が割と好評だったこともあり、また、今年は新卒採用の広報活動の繰り下げの影響で、リクナビマイナビ等の就活ナビサイトの3月1日のオープンに合わせて、自社の新卒採用サイトを3月1日にオープンさせた企業もずいぶん多かったということで、あらためてチェック。Part2ということで、個人的な独断と偏見、好みで選んだサイトをピックアップしてみた。

 

リクルートホールディングス

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http://recruit-jinji.jp/

リクルートグループは基本的に各事業会社ごとに採用活動しているのだが、ホールディングスではグループを横断したIT人材の採用を行っている。リクルートが力を入れるIT分野を担う人材への訴求ということもあり、非常にテクニカルで凝った仕様。リクルートのITに対する本気を感じる。

 

アイスタイル

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http://recruit.istyle.co.jp/

トレンドの定番ともいえるスクロールによって動きをつけていく型のサイトだが、その中でも、切り替えていく画像の見せ方が非常に秀逸だと感じた。大きいところから見せていって、定番の社員へという流れが自然で大変うまい。

 

住友金属鉱山

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http://www.smm.co.jp/r_info/saiyo/

こちらもトレンドの定番ともいえるトップページの縦スクロールだが、見せ方の流れがうまいと思ったサイト。そして、素直に事業領域のスケールの大きさを感じる写真も格好いい。

 

高砂熱学工業

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http://www.tte-net.co.jp/recruit/recruit.html

これも縦スクロールで見せていくタイプなのだが、珍しいのは下から上へスクロールさせるところ。UIとして正解なのか微妙に疑問もあるのだが、見せ方を工夫しようという意気は感じる。

 

タキイ種苗

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http://takii-saiyo.com/

トップに横幅一杯の動画を持ってくるのは、結構色々な会社で今年使われているパターンなのだが、その中でも、個人的にはこのサイトが一番好み。扱っている商材等が絵になるというのもあるのだが、コピーも含め、自社のフィールドを端的に表されており、直感的に訴求される。

 

パナホーム

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http://www.panahome.jp/SAIYOU/index.html

トップページのメイン画像をローテーションで切り替えていく仕様自体は、特段に珍しいモノではないのだが、春夏秋冬の画像が切り替わっていくビジュアルが大変綺麗で、goodなアイデアをうまく生かしたなと感じる。

 

宇部興産

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http://www.ube-recruit.com/index.html

一見、よくあるサムネイルを配したグリッドデザインなのだが、これが位置がランダム表示なことや、マウスオーバー時の挙動といい、実はかなり手が凝っているサイト。

 

クレハ

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http://www.kureha.co.jp/recruit/

キャッチコピーがダジャレではあるが、事業領域とうまくマッチしており、非常に好感。社名字体は知らない人が多いだろうことを考えても、いいコピーだと思う。

 

ライオン

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http://www.lion.co.jp/ja/company/recruit/graduate/

コピーのメッセージ自体はある意味、よく見かける類だが、社名のビジュアルと掛け合わせることで、強烈なインパクトがある。惜しむらくは、せっかくレスポンシブ対応までさせてるのに、スマホだとこのコピーが出ないのがもったいなく思える。

 

鳥貴族

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http://www.recruit.torikizoku.co.jp/fresh/

サイトの仕様自体は取り立てて取り上げるものでもないが、なんといっても、「日本一の、ホワイ気企業をつくろう。」というコピーがメチャクチャに強烈。なかなか採用サイトで言えるメッセージじゃないし、それも、なかばブラックが当たり前とも言われる飲食業の同社が打ち出してきたことに、同社の強い覚悟をヒシヒシと感じる。

 

10といいつつ、個人的に印象に残ったり、凝ってるサイトを下記におまけで紹介。


プロトコーポレーション新卒採用スペシャルサイト 〜プロトを知る旅に出る!!〜

↑仕様がかなり凝ってる

 


株式会社サンゲツ 新卒採用情報サイト

↑シンプルだけど、キャッチコピーはうまいし、いいと思う

 

新卒採用情報 | 株式会社ジェイアイエヌ

↑会社のらしさが伝わってくるし、コーポレートブランドと合わせたカラー使いも含めてデザインはうまいなと思う。

 

前回の記事と合わせて、かなりのサイトを回ってみたけど、近年は採用サイトも毎年つくるところが増えていて、トレンドが取り入れられるのが早くなっているなとは感じる次第。だけど、動きとかは興味を引きつけるのに良いとは思うけど、ユーザビリティ的にどうかと思うサイト(最初の動画をスキップできないとか、ブラウザで戻るとイチイチ、アニメーション見させられるとか、いきなり音楽流れるとか…etc)も決して少なくなかった感。本当に希望して、何度も訪れて研究しようという学生ユーザーの目線に立った設計してないと思うサイトは、なんのための動きとかアニメーションかを考えるべきだと思う。まあ、そういったことを他山の石にしないように学べただけでも、いろいろ見た甲斐はあった気がする。

他にも、こんなサイト良いよとかいうのがあれば、ぜひ教えてください!

 

学生は就職先探すのにハロワを使うな!

なんだかんだとバタバタして、すっかりと放置気味になってしまっていた当ブログ。これはいかんということで、久々の更新を。いや、しかし、関係ないけど、毎日のようにブログ書いている人は本当偉いと、あらためて思うわ。

 

で、ちょっと煽ったタイトルで、つらつらと書いてみる。 

 

先週のことになるが、「いぐする仙台」さんの下記のイベントに参加してきた。

いぐするテラス特別編「今年から何がどう変わる?株式会社アフターリクルーティング代表に聞く、就活・採用活動後ろ倒し」 | Facebook

 

基本的には学生向けのイベントだったのですが、第2部として、これからの採用活動について考えるディスカッションをやるということで、出席。結構濃いめのメンツの方々と、今の就職(採用)活動の問題点等について、色々と話してきました。

やはり、論点が広すぎる話題でもあるので、結論を出すというよりも、むしろ、何が問題なのかの論点を探る機会になったような印象でもあるのだが、色々な角度からの話が出たので、個人的にもそれはそれで有意義だし、あらためて思うところも少なくなかった。

 

しかし、ギャップイヤーや新卒一括採用などの現行のシステム的な話も出たが、個人的に一番衝撃的だったのが、ハロワの方が言っていたことで、ハロワには新卒求人が5、600件くらい寄せられるのに、その3、4割は応募自体が0だということ。

リクナビマイナビの2015年度の宮城に本社のある求人見ると、重複もあるだろうが、合わせて300社ちょい。これにマイナビ薬学生やマイナビ看護学生合わせても、いいところ350社いかない程度だろう。それをはるかに上回る数の新卒求人がハロワには寄せられているということになる。むろん、5、600社のうちには、ナビにも掲載し、地域の大学にも求人票出したうえで、ハロワにも求人票出している企業もあるだろうが、はっきり言って、現在の新卒採用という市場でマジョリティとは言えないハロワを利用をしているのがそれだけあるということに驚かされた。

一部の企業ではナビ離れという現象も起きているし、個人的に、ナビを使った採用活動だけが採用活動だとは思っていないし、むしろ、ナビに頼らない採用活動は断然推進するべきだとは思うのだが、それはあくまでもナビではなかなか取れない人材層を取りに行く場合の話。常見陽平氏の近著『「就活」と日本社会』によれば、実際にナビ経由で就職が決まる学生は25%程度という試算を出しているが、就職希望の学生50万人以上が登録し、圧倒的なユーザー数を抱えるナビを使わないで、ハロワにだけ求人だしたところで、それは応募0でもいたしかたないと思えるのである。

Amazon.co.jp: 「就活」と日本社会―平等幻想を超えて (NHKブックス No.1227): 常見 陽平: 本

 

で、ハロワの方にも詳しく聞いてみたところ、ナビとかを使わない理由として、まず、大半が中小、零細企業なので、ナビに出稿するだけのお金を使えないということらしい。しかも、その中には、自社のWebサイトすらない会社も少なくないという話。

いやね、各企業ごとに様々な事情や考え方はあるのでしょうけど、それにしても、ある程度の予算かけずに新卒の学生取ろうというのも、ムシが良すぎませんかって思う訳ですよ。ハロワの立場としては、よりマッチングさせなきゃいかんので、内定ない学生に、そういう企業もあるって目を向けさせたいってことなんだが、正直ね、いくら内定ないからといって、そんな企業に行きたくないという学生の方が正しいって気すら起きてくる。親から見ても、いくら大学全入時代とはいえ、宮城県の大学進学率が約47%(短大含、ソースはリクルート進学総研のレポート)なので、くさっても大学出たんだからって話にもなりそうだしね。

 

 リクルート進学総研 マーケットリポートhttp://souken.shingakunet.com/research/201408_touhoku_souken_report.pdf

 

で、いささか極論ではあるのだが、自分が学生にアドバイスするなら、ハロワで探すなと言いたい。

そもそも、まず自社のWebサイトすらない企業は論外。自社のビジネスが特定の安定取引先があって現在は安定収益出てるから、Webの必要性を感じていない企業というのもあるかもしれんけど、既存の特定取引先に頼っているということは、その関係性が崩れたら、一気に傾く可能性も大。くわえて、そういうところは、いくら企業規模が大きくても経営者の個人商店の可能性が極めて高い。経営者に嫌われたら、出世はおろか、それだけで居場所がなくなるなんて可能性もある。くわえて、あえて言うなら、本気度はともかく、現在のマーケット状況とかを鑑みた勝てる戦略を立てられない企業だといっても差し支えないような気すらする。

そして、なにより決定的な懸念材料は、採用にコストをかけるつもりのない企業は、極端に言えば、人材に対して投資するという思考がないということ。育成にもコストをかけるつもりなんてさらさらないところが大半だろう。大企業と比べても意味はないだろうが、大企業が一般的に新卒を採用して、戦力化できるところまで成長させるコストは一人あたり数百万ともいわれるのに、その教育・育成にかけるコスト感覚はおそらくほぼかぎりなく0に近いと思われる。

言い換えれば、単純に若くて安く使える労働力を求めているだけ。教育にも金かける気がないから、使えないと思ったら、すぐに切るつもりのところも多いのでは。しかも、言い換えれば、ろくな教育もせずにできる仕事(少なくとも、そう考えている)なわけで、仕事を通して、社会人としての専門性やスキルが身に付く期待も薄いということも大いにありえる。

ナビの回し者ではないので、なにもナビを必ず使えってわけではないけど、少なくともナビには掲載料がかかるので、それだけ人材にコストをかける気があることだけは確かだとは言えると思う。もちろん、ナビに載ってる企業がすべて良い会社なわけないし、ブラックも当然あると思うけど。ただ、ナビや、大学の就職課をフル活用する方が、いい企業に巡り合える可能性は高いとは思う。(決して、ハロワをdisりたいわけではなく、人材への意識がある企業に巡り合いたいなら、ハロワよりもっていう話ね。ハロワにだって、キャリアカウンセラーがいて、情熱がある人もいるので、そういう人に履歴書の書き方とか、就活の相談に乗ってもらうのは全然アリ。ただ、企業を探すのは…)

 

 まあ、ちょっと極端なこと書いたけど、成長とかは本来受け身でいいものではないし、何が良い企業かは人によって違う訳なので、とにかく、多くの会社を実際に見てみた方が良いよとは思う次第。

印象に残った2016新卒採用サイト10

今週予定していた仕事がリスケになったりで今日の予定がポッカリ空いてしまったので、2016年新卒採用サイトのチェックを全力でしてみた。

各社ともに工夫を凝らしたよくできたサイトが多かったのだが、その中でも、個人的に印象に残った10サイトを完全に独断と偏見でピックアップしてみました。

 

ヤマハ発動機

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http://global.yamaha-motor.com/jp/recruit/student/

もう、これは有無を言わさずカッコいい! 真っ先に出てくるデカいトップ画像でこのバイクのエンジンがドーンと出てきたら、男心がギュッとつかまれる。キャッチコピーもイイ!

 

JAXA宇宙航空研究開発機構

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http://stage.tksc.jaxa.jp/recruit/index_j.html

これもスケール感が圧倒的! 背景いっぱいに広がる宇宙はJAXAだからできることだけど、素直に憧れが刺激される!

 

凸版印刷

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https://www.toppan.co.jp/recruit/shinsotsu/

パッと見サムネイルを並べたグリッドデザインかと思ったら、サムネイルをクリックしたらページ遷移せずに、サムネイルが可変しつつ、詳細が広がるという仕様。言葉で上手く言えないのでまずは見てみるべし! フロンエンドエンジニアがメッチャ大変そうな仕様。

 

HORIBAグループ

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http://recruit.horiba.com/

かなり多数のキーワードが動いていく、これもフロントエンドエンジニアさんが奮闘したであろうサイト。

 

田村駒

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http://www.tamurakoma.co.jp/recruit2016/

上の画像が文字そのままで、生地とカラーが変化していく見せ方がセンスいい。繊維商社らしい見せ方がgood。

 

集英社

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http://www.shueisha.co.jp/saiyo/

かなり手の込んだパララックス。

 

読売テレビ
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http://www.ytv.co.jp/saiyo/

採用サイトでは珍しい横スクロールタイプ。しかもパララックス。普通にカッコいい!

 

NTTドコモ

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http://information.nttdocomo-fresh.jp/

基本はサムネイル配したグリッドデザインだが、動画も多く、かなり手が込んでいる印象。これもフロントエンドエンジニアさん大変そう。

 

バンダイナムコ

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http://www.bandainamcogames.co.jp/job/grad/

グローバルメニューが共通でコーポレートサイトに組み込んだ形。そう目立つわけではないけど、マガジン調のデザイン、コンテンツ構成に工夫を感じる。

 

大和ライフネクスト

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http://www.daiwalifenext.co.jp/shinsotsu_saiyo/

デザインはシングルカラムでそう目立つ感じではないけど、『「」、ツケテいこうぜ。』というコピーと、それに合わせたコンテンツ展開が上手いと思ったサイト。

 

と、とりあえず、10サイトをピックアップしたけど、実際かなりの数のサイトを見てみて、やっぱりトレンド的なものを感じたので、2016年新卒サイトに多く見られた特徴を上げて置く。

1.グリッドデザインが大流行り
とにかく、ボックスを並べた感じのグリッドデザインがメチャクチャ多い。もちろん、レスポンシブ対応を考えてというサイトも多いのだが、なにもレスポンシブでもないのに、グリッドデザインにしているサイトもかなり多かった印象。

2.画像をデカく見せる
特にトップの画像では、幅100%の設定とかがメチャ多い。縦の幅もかなり高く取っているサイトも多く、画像をストレートに見せるようなサイトがもはや主流となっている感。

3.背景にvideo急増中
HTML5の浸透もあってか、動画を背景にしているサイトもかなり多く見られた。今後さらに増えそうな予感。

他、1と関連するけど、フラットデザイン採用しているサイト多かった印象。あと、レスポンシブにしているサイトもやっぱり増えている印象。

 

2016年新卒採用は広報時期の繰り下げで、大手中心にまだOPENしていなく、3月以降にOPENさせる予定のところも多いようなので、また時機見てチェックしていきたい。イケてる新卒サイトとかユニークな新卒採用サイト知ってたら、ぜひ教えてください。

売れるコンテンツの4つの条件

出版業界随一のカリスマであり、ベストセラーメーカーとして知られている幻冬舎社長・見城徹氏。彼が色々なメディアとかでよく語っていることに、売れるもの、ヒットするものに必ずある「ヒットの4条件」というのがある。

 

1.オリジナリティがあること
2.明快であること
3.極端であること
4.癒着があること

 

いわく、上の4つの条件は、本に限らず、あらゆるコンテンツに共通していえるとのこと。確かに、近年のメガヒットしたコンテンツ、例えば、『進撃の巨人』や『妖怪ウォッチ』、『パズドラ』、『艦これ』などにあてはめて考えると、上記の1、2、3は非常に分かりやすい。「オリジナリティ」のないパクリコンテンツがそもそも大衆の心を掴まえることはできないし、今の時代に他の誰もがやってない独自性があるものは自然に類するもののない「極端」なものにほぼなるだろう。そして、「極端」であることはほぼイコールで、説明しやすいような「明快」なものであるとも言える。見城氏もこの3つはセットだと言っているが、売れるモノの中には、ずば抜けたコアアイデアが、確かにこの3つの要素は不分離なものとして存在すると思えるし、外から見ても分かる必要最低条件といえるのではないだろうか。

しかしながら、外から見てるうえでは分からないのが4の「癒着」。「癒着」というと、あまりいいイメージのない言葉のような気もするが、いわば、密に結び合った関係といえる。見城氏の手掛けたミリオンセラー、郷ひろみの『ダディ』がその典型的な事例と言えるだろう。郷ひろみ二谷友里恵のスター夫婦の離婚にいたるまでを伝える話を出版できたこと自体、郷ひろみとの深い信頼関係に基づくものなのは明らか。さらには、その話を本という形になるまでに時間がかかるメディアが一番最初に伝えるものになったことで大ヒットにつながったのだが、そこまで、他のメディアで明るみになることなく、秘密裏に進められたのは、まさに作家と編集者の切り結んだ信頼関係の賜物。さらには、このプロジェクトが漏れることのないよう、印刷もつき合いの深い印刷会社の社長自らが深夜に一人で作業して、従業員が目にすることのないようにしたという話も聞く。まさに二重三重に「癒着」があったことで、話題化の最大限にもつながって、記録的なヒットとなったのだ。

この表に出ない「癒着」だが、広告やWebにおいても、ヒットというか、案件の成功のためには、実は最も大事なものではないだろうか。例えば、1、2、3を満たしたよく練られた面白い企画であったとしても、その企画が通らず、無難な企画に落ち着いたり、企画が通っても、制作中にちゃぶ台返しの修正を要求して企画自体が骨抜きになってしまったという話はそう珍しいことではないように思う。そういったケースにおいては、この「癒着」が欠けていることが大概の原因ではないだろうか。本来クライアントが求めているもの、目指しているもの、課題などと、制作側にズレが生じてしまうゆえに、そういったことが起こってしまう。逆に言えば、案件の成功にはそれらの目標や課題をきちんとクライアントと共有することがなにより重要なのだ。また、それは、広告代理店と制作会社、営業やディレクターと実作業するデザイナーやエンジニアとにも同じことがいえよう。

実際に私もやってみたことはないが、クライアントと関係各者が集まり、カスタマージャーニーマップをワークショップで一緒につくりあげていく取り組みなどはなかり有効ではないかと思う。それだけの時間を共に捻出できるか、コストに反映できるかなど、また難しい面もあるけれども、そういった作業を通すことで、意識の共有、そして「癒着」した関係性をつくること。目標達成のために、そして、広告やWebの制作をより有意義なものにするために、携わる者すべてがもっと意識していくべきことのように思う。

一人称について考える

ブログとかSNSで文章書いていると、実は結構一人称の使い方で迷うことがしばしばある。一人称なんだから、基本的に好きな言葉を使えばいいのだろうが、特にブログの場合などは、ずっとその言葉を統一して使った方がキレイだよねなどと思ったものなので、どんな言葉が使えるのか整理してみたい。

 

私(わたし、わたくし)
これが最もポピュラーな言葉でしょう。公式な文章であっても問題なく使えるし、無難でオーソドックス。あえて言うなら、語感が堅い印象があるので、私的でくだけた文章で書くときに向いてないかも。

僕(ぼく、ボク)
本当に正しいかは分からないが、オフィシャルな場でも使われる言葉。どちらかというと子供向けの言葉というイメージがあるので、あえて卑小化して見せたいとか、へりくだって見せたいときに使う印象。

俺(おれ、オレ)
実際に口から発する場合、私的な場面では一番使うし、使われていると思われる言葉。文章であえて使う場合は、若干、尊大な印象というか、虚勢を張るような時に最適かも。

自分
個人的には結構リアルの場でも使っている。間違いようがないので、相手とか周囲の関係性の中で客観的に捉えてみているという時に使っている。特に高倉健リスペクトによるわけではない。

儂(わし、ワシ)
本来的には老人が一人称代名詞として使う言葉ではないかと思うが、翻って、自分を尊大に見せたい時、相手よりも高みに立っていることを印象づけたい時に使う。小林よしのりゴー宣で使っていることもあって、見下し感が強い印象。

わい、ワイ
わしの変形というか関西版という印象。だが、実際に使っている関西人はあまり見たことがない気も。プロゴルファー猿が使っている。

おいら、オイラ
あえて田舎者っぽく見せたい時、気さくな印象を与えたい時などに使っている言葉。ビートたけしが使っていることにより受けている印象もあるかも。

おら、オラ
あか抜けてない語感もあり、田舎者、百姓的なイメージを与えたい時によく使う。使用イメージの代表はジェロニモ

拙者
中世の武士とか忍者とかが使っていた言葉というイメージ。ネタ的な場合か、古風な印象を与えたい時に使うかも。

余、予(よ)
余は満足じゃ的な上り詰めた平安貴族とか将軍的なイメージで使う言葉。


ミー(me)
英語の一人称me。実際に使っているのはイヤミかテリーマンくらいかと思われる。

わ、わー
たぶん青森では標準語。

おで
山下たろーくん以外使っている人は知らない。

小生
たぶん本来的にはへりくだった表現だが、あえてこの言葉を使う場合は、難しい言葉を使うインテリ的なイメージを狙っている感がある。そして、個人的にはよく使う(笑)

と、こうして挙げてみたけど、他にも訛り的な言葉とか色々あるね。ブログとかでは、本当好きな言葉使えばいい気がするけど、こうしてまとめてみると、知らず知らず印象を気にして使い分けてるとは思う。そして、ざっと思いついただけでも簡単にこれくらい挙がる日本語って奥が深いとあらためて思う次第。

気分転換がてらに毒にも薬にもならないこと書いたところで、再び原稿に戻ることにしよう。
そんじゃーね。